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魔王復活

昔中途半端に書いた作品を手直ししていくスタイル
「ひ、姫様・・・」
 そう言って精魂尽き果てた兵が意識を失った。
「お前は中々濃かったぞ。」
 お腹を擦りながら呟く。
 しかしそれでももう少し、必要な分まで届かない。
「どうしました姫様…な!?」
 騒ぎを聞き駆けつけた警備兵が、惨状に気づいて絶句する。
 周りに全裸の兵達が、全員精や魔力を絞り出されてミイラの様にやつれた姿で倒れているからだ。
「ひ、姫様!此れは、その格好は一体?」
 今の私(わたし)は、姫のドレスではなく、露出の多く、禍々しい形をした鎧を着ている。
 この警備兵の男が魔術に心得がある者なら、この鎧が露出の多い理由も理解出来ただろう。
「貴様も潜在量は十分だな。」
「は?」
 私が眠っている間に人間の魔術が大幅に衰退した様だ。
 姫の記憶によると魔術は一般的な物ではなく、一部の者しか扱えない特殊な技術になっているらしい。
 人間の潜在的な魔力量は大して変化してない辺り、何らかの理由で伝承する者が減ったのだろう。
「気にするな。直ぐに終わる。」
 此方からすれは純度が高い魔力が楽に手に入り好都合だ。
 眼に魔力を込めて見つめる。
「な…身体の力が…!」
 私と眼を合わせていた男は、全身の力が抜けて後ろに倒れこんだ。
「この身体は便利だな。魔力も高く、皆油断する。」
 闇色の鎧に赤い魔力のラインが光り、右手に集まる。
 そのまま男の鎧に右手を当てると、衣服ごと鎧が灰になり消滅した。
「こ、これは…!?」
「気にするな。聞いた所で意味が無い。」
 それに、どうせやる事は決まっているから…
「この身体で奉仕されたら、貴様はどんな声をだす?」
「うぅっ…!」
 男性器を掴み、再び魔力を走らせると、一気に限界まで膨張する。
「ほう、中々立派な物を持ってるじゃないか!」
「ひ、姫様…だ、駄目です…!」
 男に股がり、男性器を扱きあげる。
「遠慮するな。どうせ全部出すまでやるからな。」
「うあ…く…」
 それでも男は耐えようとする。見上げた忠誠心だ。
「むぐっ!?」
「ほら、分かるか?私はこんなに濡れているんだ。早くこの疼きを静めてくれ。」
姫の股間を男にグイグイと押し付ける。
男も吹っ切れたのか、舌でレロレロと舐め始めた。
「はぁ!…っ…良いぞ!そのままっ…あん…!」
「んんぅー!…ふぐぅっ!うっ…ううぅっ…!」
 男は盛大に果てた。
 魔力でブーストさせた普通ではあり得ない量の精と、『それ以外』を吐き出し続ける。
「はは!良いぞ良いぞ!」
 顔に付いた粘液を舐める。
 精力の他、魔力や生命力、精神力。
 全て出しきった男は、周りの兵同様ミイラの様に枯れ果てて気絶した。
「もう充分かな…」

 玉座には死体となった王が座っていた。
「お父様のは格別でしたわ。余りに美味しすぎて、ついつい全部絞り出しちゃいました。」
 まさか娘の手にかかって最後を迎えるとは思わなかっただろう。
「さて、最後の仕上げだ…」
 城内の殆どの者は、男女問わず文字通り精魂尽き果てている。
 後は回収した分を使ってこの術式を発動すればいい。
「が、その前に―」
「ワタシを倒してから、ですか?」
 背後から、この身体の生みの親、女王が質問してきた。
「ええそうです。よく私の拘束結界を解けましたね。」
「…娘だけでも返してもらいます。」
 私の質問を無視して睨み付けてくる。
「無理よお母様。私(わたくし)の身体はこんなに汚れてしまったのだから!」
「!!」
 両手に練った魔力を女王に向けて放つ。
 女王に当たった衝撃で周りの石床が砕けて煙を上げる。
「流石私のお母様!当代一の魔術師と呼ばれるだけはあるわ!」
 直撃する瞬間に、目の前にバリアを貼って防がれた。
「その子の真似をしないで!」
「ふふ、嫌だ、と言ったら?」
「張り倒します!」
 魔力を纏って勢い良く突っ込んできたので慌てて避ける。
 あんなものに当たると一発でやられてしまう。
「嫌だわお母様。怖いです。」
 意外と武闘派だな。


 玄関の扉ごと噴水まで吹っ飛ばされた。
「…逃げても逃げても追いかけてくる。」
 玄関ホールから悠々と歩いてくる。
 僅かに息を切らしているが、あれだけ派手にやったのに豪華なドレスや装飾は埃一つ付いていない。
「この娘の記憶違いでなければ大魔術師のはずだが?」
 話が違う。殆ど肉弾戦ではないか。
「ええ、専門は身体強化や防御障壁よ。それに、全力が出せない相手は戦い易いわ。」
「…」
 いくら身体に馴染んでも、術式を起動するための力を温存したい。
「短時間で娘の身体をそこまで使えるようなるなんて…それに「その鎧」。まさか地下に封印されてた!?」
「そうだとしたら?」
 それが分かるなら、姫が「どうなっている」か理解できる筈だ。
「この娘の魂は既に私(わたし)の一部になっているぞ?」
 魂は成仏も消滅もせず私に取り込まれ、身体ごと私に同化されている。
「…まだ娘と分離出来るかも知れません。」
 流石親子だ。僅かな希望にかけて娘を救おうと近づいてきた。
 しかしそれが仇となった。
「かかったな!」
「?!しまった!」
 術式に魔力を注ぎ起動する。
 女王の足元―術式の中心―から光りが発生。
 身体を拘束し女王の魔力を根こそぎ吸収する。
「力が…入らない。」
「先程の物とは別の、大規模な拘束結界です。いくら女王でも解除するのに数日は必要かと。」
 姫の体を奪って直ぐに油断した女王を簡易結界で拘束していたが、これは敷地内の人間から魔力を搾り取りながら準備した特別製の大結界だ。
 拘束を解かれなければそのまま此処へ運ぶつもりだったが、保険をかけておいて正解だった。
 女王から吸収した魔力を利用して更に別の術式が起動。
 敷地の外側から内側に向かって複数の魔力の線で幾何学模様が描かれる。
「拘束以外に…大規模な召喚陣?」
「そんな所だ。周りを見てみろ。」
 私に絞り出されて意識を失った兵達に魔力の線が触れる。
 触れた場所からボディペイントの様に幾何学模様が描かれた。
「ぐ、うぅ…がぁ!」
「これは!」
「大規模な転生術式。私の手下を「こちら側」へ連れてくる為に、敷地内全員の体内に召喚中だ。」
 変化は直ぐに訪れた。
 模様が発光を強めるのに合わせて兵たちが苦しみ始める。
 私に絞り取られ「空」になった体に別のモノが流し込まれていく。
「皆動く事すらままならない程消耗させてある。そんな状態の身体と精神では抵抗すらできまい。」
 最も、私が取りこぼした者も、術式に耐えれる程の力など無いだろう。
「ああ、何て事を…」
 城内の者達の身体にも変化が現れる。
「が、があああぁ!」
「ぐおおおぉ!」
 ある者は体毛が生えて爪と牙の鋭い獣へと、ある者は身体が数倍に膨れ上がり鋼の様な皮膚の怪物へ、ある者は元の姿に蝙蝠のような羽と牙が生えた姿に。中には性別まで変化している者もいた。
 皆私の「手下」に乗っ取られて行く。

「…何故ワタシを殺さ無いのですか?」
「?」
「この術式を発動するためにかなりの魔力が必要です。しかし、それでも娘の魔力だけで可能な量。なのに、先程も今も、動きを封じるだけでワタシを殺さないのは何故?」
 確かに、女王を殺してから私が術式を起動した方が手間は省けた。しかし…
「手下達は「ついで」だ。」
「なんですって?」
「この術式は中心に居る者を器にして、私達の「王」を呼ぶのが目的だ。」
「!」
 此処に居るのは、「こちら側」への道へ王が通る準備の為の尖兵達だ。
「お前のような強靭な肉体ならば、「王」も定着するだろう。」
 常人では身体が王の力に耐えきれない。しかし、強すぎると抵抗されて「王」が入れない。
 強い肉体を弱らせるという手順が必要だったのだ。
 そこで、消耗させるために娘の真似をして揺さぶり本気を出させ、術式に女王の魔力を利用した。
「完全に手のひらの上ですか…」
 抵抗を締めて膝を付く。
 姫も初めて見る、女王が屈伏した姿だ。
「…そろそろだな。」
 城全体を通ってきた魔力が中心の女王に向かって集まる。
「ひっ…や、やめ…ゃ、いやああ!」
 魔力で書かれた術式が女王の身体を這い上がる。
「ああ!いや、いやあああ…」
 全身へ術式が廻ると、糸が切れた様に動かなくなった。
 術式は女王の魂を捕らえ、侵食し、「王」が入りやすい様に砕いて抵抗できなくしたのだ。
「……っ…ぁ…」
「?」
 不意に、虚ろで弱々しい瞳で此方を向き、女王が手を伸ばす。
「…―――」
 僅かに残った意識で娘の名を呼んだ。
「さようならお母様。」

 おそらく女王が最後に見たのは、私に乗っ取られた娘の邪悪な笑みだろう。
 
「ぁ…ぅぅ…」
 魂を砕かれ、精神が崩壊した女王の身体は力無く倒れこんだ。
「さあ、「魔王様」!女王を「器」に今こそ「こちら側」へ!」
「ぁ…はあ、あぁ!…ああああぁ…!』
 魔王様が体内に入ってきた事で、女王の身体が大きく震える。
 
 純白のドレスは障気で黒く染まり露出の多い形に変化し、魔王様に相応しい肉体へと作り替わっていく。
 
 側頭部から曲がった角、背面から蝙蝠のような翼が生える。
 女王を基にしているので性別や肉付きは違うが、その姿は間違いなく魔王様だ。
 
 いつの間にか手下達も周りに集まり、跪いて様子を見ていた。
 
「魔王様だ…!」
「マオウサマ!」 
「おお!魔王様…」
 魔王様の降臨に皆が歓喜の声を上げる。
 
『久しぶりだな……今は姫と言うべきか。良い身体を手に入れたな。』
「はい魔王様。姫のおかげで速やかに「こちら」へ呼ぶ事が出来ました。」
 
 かつて、人類と我々の長きに渡る大戦があった。
 その最終決戦で魔王様と多くの魔物の精神は「あちら側」へ封じられてしまい、指導者を失った我等は敗北した。
 肉体を失いながらもかろうじて封印を免れた私は、他人の身体を奪いながら魔王様をこちらへ戻す方法を探していた。
 「あちら側」と「こちら側」を繋ぎ、肉体を失った魔物達を依り代に移す術式、魔王様を召喚可能な肉体の捜索…
 一度は成功間近まで行くも、数代前の王に察知され失敗。
 私は鎧に封印され、時間をかけて浄化するために城の地下の隠し部屋へと運ばれた。
 しかし、私は内側から浄化用の術式を侵食・改変し、気付かれないように鎧を自らの身体へと作り替えて、時間をかけて力を蓄えていった。
 
 
『やはり肉体が有るのは良い。』
「ひゃん♪」
 魔王様が近くに居た淫魔を手繰り寄せた。
 確かあの淫魔の身体は、姫の世話係の侍女の一人で年齢が近いので良く話し相手になっていた少女だ。
 淫魔になった彼女にかつての控え目で大人しかった少女の面影は無く、胸元や下半身を露出させた服を羽織り、扇情的で官能的な空気を纏った女へと変化している。
 
『「あちら」では女を抱く事も出来なかったからな。』
「でも魔王さまぁ。その身体でどうやって女を楽しませるつもりですか?」
『試してみるか?』
 魔王様は子を持つ年齢とは思えない程若々しく美しい女王の身体。
 その為、今の二人は女同士で抱き合う形になっている。
「魔王様。お戯れの所悪いのですが、術式が完成しました。」
『…そうか。』
 こちらに興味が移った魔王様が抱きしめていた淫魔を離す。
 淫魔が不満顔で睨んで来る。
「相変わらず空気読めない『おじいちゃん』ね。」
 この呼び方には覚えがある。
「ああ!今気付いたぞ。お前は魔王様の側室にいた大淫魔か。」
「あら?やっと気付いたのね?相変わらず貴方は魔王様と自分の手下しか眼中に無いのねぇ。」
「当たり前だ。お前など記憶するのも煩わしい。」
 何時も魔王様に擦り寄る忌々しい○女が。
 魔王様のお気に入りでなければ直ぐにでも消してやりたい所だ。
「睨まないで下さい『姫様』。私達の仲じゃないですか。」
「…そうね、毎晩『貴女』の大好きな衛兵の話をしたわね。今頃彼はトロルにでもなってるんじゃないの?」
 
『貴様等は相変わらずだな。』
「っ!申し訳ございません。」
「あはは!ごめんなさあい。」
「……例の物はこちらです魔王様。」
 淫魔を無視して魔王様を城内へ案内する。
 
 宝物庫の奥、封印が『内側』から破られた隠し通路。
 永い年月により忘れ去られ、女王ですら把握していなかった封印・浄化用の部屋へ繋がっている。
 私の封印の為に用意された部屋への通路は、本来は神聖な気が満ちていた。
 しかし、私が永い時を掛けて汚染し、障気が封印越しに漏れだすほど溢れていた。
「ほう、流石だな。よく一人で此処までの術式を書き上げた。」
「ありがとうございます。起動の方も、魔王様と女王の魔力を利用すれば問題無いかと。」
 奥の部屋には障気だけでなく、永い時間をかけて編んだもう一つの召喚用術式の起動部がある。
 先程の魔王様召喚と違い、超広域用に魔物達を降ろす為に作ったモノだ。
 この術式を使えば、国内全域の民の身体を強制的に魔物が乗っ取る事が出来る。
 広域かつ対象を予め弱らせる必要が無い代わり、起動するまで時間が掛かるうえに膨大すぎる魔力が必要で、実質魔王様以外には起動すら出来ない欠点を持っている。
 
『先ずはこの国を我らの領土とし、人類に宣戦布告するぞ!』
 魔王様が部屋の中央の術式に手をかざし、魔力を流し込んだ。

「やっぱり何人かは気が付いたみたいね。」
 先程の戦闘や召喚、止めにこの術式。
 名のある魔術師ならば異変に気が付いたであろう。
「なに、予定通りじゃ。」
 術式の起動が完了するまで1日、起動さえすればあっという間に国内の者が全て魔物になる。
 それまで妨害されぬようにする為に、城内の者を予め魔物にしておいたのだ。
「さあ行くぞ○女よ!魔王様を御守りするぞ。」
「分かりました姫様~っと」
 
 こうして、復活した魔王と魔物は再び人類との長きに渡る戦いを開始するのだった…

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Author:N.D
TSFで特に憑依が大好物です!あまり更新するか分かりませんが、以前書いた小説とかを載せてく予定です。


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