次の獲物
お久しぶりです!
今回は「大切な物で」の続きです!
今回は「大切な物で」の続きです!
「瑞希ちゃんちょっといい?」
「…えっと、あかね先輩?」
授業が終わり家に帰ろうとしていた瑞希を、教室の前で待ち伏せていた水泳部の先輩が呼び止めた。
「最近部活に出てないけど何かあったの?」
あれだけやる気に満ちていた後輩が、急に部活動に全く参加しなくなった。
その事に対して責めるのではなく、あくまで心配した様子で尋ねてくる先輩に対して瑞希は心のなかで「優しくて良い先輩だ」と思い…
…だからこそ「メチャクチャに犯したい」とゲスな思考を走らせていた。
「あの、ここだと話いにくいので、できれば何処か二人だけになれる場所へ…」
「ええ!分かったわ!」
何か事情あるような素振りを見せると何も疑わずに付いてくる先輩。その姿を見て瑞希…の身体を支配している男性は、笑いそうになるを密かに堪える。
「へへへ♪先輩ちゃんは処女かなぁ~」
気がつかれないように呟きながら、「こういう時」のために確認しておいた空き教室へ先輩を連れ込んだ。
――
瑞希が男性に肉体を乗っ取られてから数ヵ月。
最初の頃は完璧に瑞希に成りすまして生活しようとしていた男性だったが、一月もしないうちに演技に飽きてしまった。
なにしろ、瑞希の記憶が読めると言ってもそれは「本や映像を見る」ようなもので、成りすますには彼女の癖や口調を男性自身が常に意識して演技をしないといけないのだ。
…とはいえ男性の行動に違和感を感じても、流石に中身が別人になっていると考える人など皆無だし、記憶も瑞希本人の物をいつでも確認できるのである程度は話を合わせる事ができる。
本来の瑞希に人望があったお陰で、多少なら周囲が勝手に反抗期になってグレたと解釈してくれて楽だ。
…そう、中身が男性でもこの身体は他人の物、だから何をしようとその結果は身体が背負う事になるのだ。
――
全裸のまま床に倒れている先輩と、ソレを下卑た表情で見つめる瑞希。
教室内に充満する女の匂い、乱雑に床に置かれた如何わしい玩具…何よりも、先輩の虚ろな瞳と股間からこぼれ落ちる血と愛液の混ざった液体が、ここで何が起きたかを物語っていた。
「なかなか気持ち良かったよ先輩♥」
陵辱によって心身ともに傷を負った先輩に対して、満足したのか少女らしくない笑顔を見せる瑞希。
身体が少女、中身がゲスな男性だからこそ出来る歪な表情だ。
「夜遊びとかもやったんだけど、やっぱりおっさんは生理的に無理でさ。」
この1ヶ月で女物の服に馴れた男性は、苦戦することなく下着や制服を着ていく。
胸元のボタンをとめ、着崩れした制服を整えると「見た目上では」何時もの瑞希になった。
ただし、中身が男性のままなのを示すように自身の胸をいやらしい手つきで鷲掴みしてむにゅむにゅと弄り倒している。
「先輩がもう少しスタイルが良かったら乗り換えてたけど…」
自分の胸を持ち上げながら先輩のものと見比べる。
確かに先輩は瑞希と遜色ない美人だが、スタイルは彼女の方が一歩劣る。
特別発育していないという訳ではないのだが、瑞希ですら満足していない男性にとってはこれは致命的だ。
その結果、幸か不幸か男性に犯されても身体を乗っ取られはしなかった。
「みず……ちゃん………」
「そんな声じゃ聞こえないよ先輩。」
虚ろな瞳で涙を流しながら絞り出した声は、残念ながら「瑞希」には聞こえなかった。
「あ、でも俺も「瑞希ちゃん」がどうなってるか分からないんだよね。ひょっとしたら聞こえてるのかも。」
男性自身もこの憑依能力を完全には把握していない。
瑞希の記憶によれば仲がよかった先輩みたいだが、そんな彼女の涙でも男性や本来の瑞希の意識に影響を与えている気配はなかった。
瑞希の意識が今現在眠っているのか、起きているのか、あるいは取り込まれたり消滅させられ存在しないのか…少なくても今現在、男性が思い付く確認方法は一つだけだ。
「さて、この身体ともお別れかな?」
今回の出来事は流石に問題になるだろう。
周囲への態度が豹変したと言っても、この身体での行動が制限されないように、―少なくても表向きには―大きな騒ぎが起きるような事はしていなかった。
しかし流石に、先輩を空き教室で無理矢理犯し純潔を奪ったとなると言い訳できない。
こうなったらさっさと身体を乗り換えて新しい生活を送った方が楽だ。
「へへ、思ったより楽しませてもらったよ。」
元々瑞希には能力の実験として乗り移ったのであって、思っていたより気に入りはしたが特別居座りたいと思う程の愛着はない。
「じゃあね先輩、次会う事があったらその時も宜しくね♪」
気力も体力も失い動けなくなった先輩と、この部屋で何が起きたのかについての証拠を放置したまま、男性は以前から見定めていた獲物の元へと向かった。
――
放課後の図書室。
テスト前でもないこの時期に利用する生徒は少なく、カウンターにいる図書委員ですら暇すぎてうたた寝している。
そんな人気の少ない図書室に訪れた瑞希は、いつもこの時間帯に図書館にいる「友人」を探していた。
その人物は瑞希の身体に飽きたら移動しようと考えていた数人のうちの一人だ。
たまたま空き教室が近かった事と、人が少なく本棚で隠れれば人目に付きにくい図書館という環境は乗り換えるのに都合が良い。
何より男性にとって「一番理想的な容姿」であるという、ある意味で最も重要な要素をその友人は持っていた。
「あ~ん~な!ちょっといいかな?」
目的の少女はすぐに見つかった。
この1ヶ月で男性が培ってきた「瑞希のマネ」を駆使して警戒されることなくと少女に近付く。
「瑞希ちゃん?珍しいね、図書室に来るなんて。」
「む、失礼な!アタシだってたまには本を読むんだから。」
瑞希が一年の頃、同じクラスだった友人の「安奈」。
彼女こそ男性が瑞希の記憶を確認した時に知り、「次の身体」として狙っていた少女である。
暫く瑞希のフリをしたまま他愛のない会話を続ける男性。
「ふふ、なんだかこうやって話すのも久しぶりな気がするね。」
「えーそうかな?」
さりげなく壁際に誘導しながら、男性は密かに安奈の身体を品定めした。
やや童顔な柔和な顔立ち、背中まで伸ばしたサラサラの黒髪、雪のように白い肌。
体育系の引き締まった身体の瑞希とはまた違った、グラビアアイドルのような整ったスタイル。
発育の良い肢体に対して顔は幼くも見える可愛らしい童顔、瑞希の身体の中に潜む男性からしたらまさに理想の肉体だ。
「だってクラスが違うし…その、最近なんだか瑞希ちゃん雰囲気が変わったというか…瑞希ちゃん?」
「瑞希」から舐め回すような視線を感じた安奈が、不審げな表情で顔を覗き込んできた。
「へへへ、安奈ちゃんって可愛いよね…」
「え!?あ、ありがと…んぅ!?」
唐突に、安奈を無理やり壁に押さえつけ唇を奪う。
瑞希の予想外な行動に目を見開き驚く安奈の口内へ、躊躇なく舌をねじ込み激しくかき回す。
「ちゅく、んん!くぅ…ちゅぷ…」
「ん、ちゅく…ちゅ…ぷはぁ!」
ある程度味わったところで、銀色の唾液の糸を紡ぎながら唇を引き離す。
時間にしたらたった数秒だが、男性は興奮で、安奈は混乱と嫌悪で長い時間に感じた。
「へへへ、ごちそうさま安奈ちゃん♥」
「あ、貴女本当に瑞希なの?」
涎のついた口元を舌でなめ取りながらうっとりとした…いや、鼻の下を伸ばして下品な表情の瑞希の表情は、安奈の知る友人のモノではない。
安奈本人ですら「どこまで」自覚して言ったのかは分からない、無意識に搾り出した疑問の言葉。
「…そうだよ。アタシは瑞希だよ?」
若干動揺しながらも、男性は彼女の疑問にあやふやに答えながら抱きしめた。
「はぁ~♥安奈ちゃんの身体やわらか~い♥」
「やめてっ!何するの?!」
「柔らかいお尻♥それに、おっぱいも瑞希ちゃんよりおっきい…」
瑞希の細い指を使っていやらしい手つきで安奈の腰やお尻を撫でまわす。
さらに、グイグイと自身の身体を執拗に押し付け素肌の柔らかさや温もりを堪能する男性。
…当然の事ながら、そんなことを続けていれば抵抗される。
「やだっやめて!離して!」
「うおっ…と!」
いくらこの身体が水泳で鍛えていても、相手に全力で抵抗されてしまえば簡単に振りほどかれてしまう。
男性は身体を引き離そうと暴れた安奈に突き飛ばされてしまった。
「いってぇ、調子に乗りすぎた。」
「こっちにこないで!」
こちらの動きを見逃さないように睨み付けてくる安奈。
しかし、怒りや失望、恐怖…ネガティブな感情をぶつけるその表情は、男性にとってはこれから行う自分の行動に対するスパイスのような感覚だ。
「へへへ、続きは自分でやって貰おっかな?」
「あ、ああ!」
なぜかというと、男性の能力は相手と視線を合わせる事で発動するからだ。
男性が能力を使いながら視線を合わせて数秒、早速安奈が短い悲鳴をあげながらビクッと身体を震わせる。
この瞬間、二人の間には意識を流し込む為の「道」が繋がった。
「やぁ…ぁ…はいって…きちゃ…」
金縛りにあったかのように自分の意思で身体を動かせず、逃げるどころか視線を反らすことすらできない。
自分の中に黒く濁った意識が流れ込んで行くのをただ眺めるだけの安奈と、瑞希の肉体から抜け出す奇妙な感覚に心を躍らせる男性。
「へへへ、もう遅いよ安奈ちゃん……じゃあね…」
その言葉を最後に、瑞希の肉体は電源を切った玩具のように力を失い、膝から地面へと崩れ落ちた。
男性の数ヵ月に及ぶ支配から解放されたその肉体は、そのまま鈍い音をたてて床へと倒れこむ。
「いや…いやぁ…!きもちわるい…ぁ…」
…一方で、安奈の方は目の前で起きた事を心配する余裕などなかった。
視界を通して侵入してきた男性が頭の中を這いずり回り意識を犯していく。
「あっ!あぁ!ああぁ……」
既に男性の移動は完了しているので、どれだけ抵抗しようと退ける事は不可能だ。
すぐに安奈の意識は塗りつぶされ…
――
「これだよこれ!このおっぱいが欲しかったんだよ!」
男性に身体を奪われてしまった安奈が胸に両手を埋めながら下品に笑う。
瑞希よりも大きく柔らかい胸、小麦色に焼けていた瑞希と違って透き通るような白く柔らかな肌、水泳をしていた影響で茶髪だった瑞希と違うさらさらしたロングの黒髪…同い年の少女でも胸の重みも身体のバランスもまったく違う。
当たり前でありながら普通なら理解できない感覚に興奮しながら、安奈はひたすら自分の身体を堪能していた。
「へへ…いいねぇ安奈ちゃんの身体♥瑞希ちゃんより使い心地が良さそうだ♥」
うっとりと舌なめずりしながら呟く「男性」。
ここにあるのは乗り換えも無事成功し、以前より理想的な肉体を手に入れた事に喜びを隠せない男性によって歪められた少女の姿だ。
「さて、と…いままでありがとね瑞希ちゃん。」
このままこの場に居たとしても面倒なことになるだけだ。
「安奈の身体になった男性」は躊躇なく瑞希の鞄の中の荷物を漁り「男性の準備していた手提」を取り出した。
中身は大人の玩具や財布の中身、瑞希の水着といった男性の欲望が詰まった物ばかりだ。
「じゃあね。もう会うことは無いかもしれないけど、これからも元気でね~♪」
新しい身体へと完全に興味が移った男性は、瑞希に最後の挨拶を済ませてその場を後にした。
――
「ねえ、あの噂聞いた?」
「三年の先輩が三階の空き教室で襲われたんだって。」
「二組の生徒が記憶喪失で入院したとか。」
「二重人格だったって聞いたよ?」
「私は転校したって聞いたけど…」
他愛のない会話の中に見え隠れする「あの出来事」の噂話。
何処までが本当で何処までが嘘なのか、安奈の中に潜む男性にも分からない。
安奈に乗り換えた事により当事者ではなくなった男性は元の瑞希がどうなったのか、先輩はあの後どうしたのか、詳細を調べる事が出来なくなったからだ。
ただあれ以降、男性は瑞希の姿を見ていない…という事実だけが残った。
「もうアレから一月かぁ…」
安奈の清んだ声で小さく男性。
瑞希の時と同様に安奈の身体と記憶を利用し好き勝手しながら一月たった。
両親は最近様子の違う娘に戸惑ってはいるが中身が違うという考えには至る筈もなく、瑞希の時と同様に反抗期か何かだと思っているようだ。
「へへへ、瑞希ちゃんと違ってそう簡単には手離さないよ?」
この身体を気に入って乗り換えただけあって、安奈に対する男性の執着も瑞希の時以上だ。
安奈が男性から解放された時、彼女の人生はどれだけ歪められているのか、男性自身にもそれは分からない……
「…えっと、あかね先輩?」
授業が終わり家に帰ろうとしていた瑞希を、教室の前で待ち伏せていた水泳部の先輩が呼び止めた。
「最近部活に出てないけど何かあったの?」
あれだけやる気に満ちていた後輩が、急に部活動に全く参加しなくなった。
その事に対して責めるのではなく、あくまで心配した様子で尋ねてくる先輩に対して瑞希は心のなかで「優しくて良い先輩だ」と思い…
…だからこそ「メチャクチャに犯したい」とゲスな思考を走らせていた。
「あの、ここだと話いにくいので、できれば何処か二人だけになれる場所へ…」
「ええ!分かったわ!」
何か事情あるような素振りを見せると何も疑わずに付いてくる先輩。その姿を見て瑞希…の身体を支配している男性は、笑いそうになるを密かに堪える。
「へへへ♪先輩ちゃんは処女かなぁ~」
気がつかれないように呟きながら、「こういう時」のために確認しておいた空き教室へ先輩を連れ込んだ。
――
瑞希が男性に肉体を乗っ取られてから数ヵ月。
最初の頃は完璧に瑞希に成りすまして生活しようとしていた男性だったが、一月もしないうちに演技に飽きてしまった。
なにしろ、瑞希の記憶が読めると言ってもそれは「本や映像を見る」ようなもので、成りすますには彼女の癖や口調を男性自身が常に意識して演技をしないといけないのだ。
…とはいえ男性の行動に違和感を感じても、流石に中身が別人になっていると考える人など皆無だし、記憶も瑞希本人の物をいつでも確認できるのである程度は話を合わせる事ができる。
本来の瑞希に人望があったお陰で、多少なら周囲が勝手に反抗期になってグレたと解釈してくれて楽だ。
…そう、中身が男性でもこの身体は他人の物、だから何をしようとその結果は身体が背負う事になるのだ。
――
全裸のまま床に倒れている先輩と、ソレを下卑た表情で見つめる瑞希。
教室内に充満する女の匂い、乱雑に床に置かれた如何わしい玩具…何よりも、先輩の虚ろな瞳と股間からこぼれ落ちる血と愛液の混ざった液体が、ここで何が起きたかを物語っていた。
「なかなか気持ち良かったよ先輩♥」
陵辱によって心身ともに傷を負った先輩に対して、満足したのか少女らしくない笑顔を見せる瑞希。
身体が少女、中身がゲスな男性だからこそ出来る歪な表情だ。
「夜遊びとかもやったんだけど、やっぱりおっさんは生理的に無理でさ。」
この1ヶ月で女物の服に馴れた男性は、苦戦することなく下着や制服を着ていく。
胸元のボタンをとめ、着崩れした制服を整えると「見た目上では」何時もの瑞希になった。
ただし、中身が男性のままなのを示すように自身の胸をいやらしい手つきで鷲掴みしてむにゅむにゅと弄り倒している。
「先輩がもう少しスタイルが良かったら乗り換えてたけど…」
自分の胸を持ち上げながら先輩のものと見比べる。
確かに先輩は瑞希と遜色ない美人だが、スタイルは彼女の方が一歩劣る。
特別発育していないという訳ではないのだが、瑞希ですら満足していない男性にとってはこれは致命的だ。
その結果、幸か不幸か男性に犯されても身体を乗っ取られはしなかった。
「みず……ちゃん………」
「そんな声じゃ聞こえないよ先輩。」
虚ろな瞳で涙を流しながら絞り出した声は、残念ながら「瑞希」には聞こえなかった。
「あ、でも俺も「瑞希ちゃん」がどうなってるか分からないんだよね。ひょっとしたら聞こえてるのかも。」
男性自身もこの憑依能力を完全には把握していない。
瑞希の記憶によれば仲がよかった先輩みたいだが、そんな彼女の涙でも男性や本来の瑞希の意識に影響を与えている気配はなかった。
瑞希の意識が今現在眠っているのか、起きているのか、あるいは取り込まれたり消滅させられ存在しないのか…少なくても今現在、男性が思い付く確認方法は一つだけだ。
「さて、この身体ともお別れかな?」
今回の出来事は流石に問題になるだろう。
周囲への態度が豹変したと言っても、この身体での行動が制限されないように、―少なくても表向きには―大きな騒ぎが起きるような事はしていなかった。
しかし流石に、先輩を空き教室で無理矢理犯し純潔を奪ったとなると言い訳できない。
こうなったらさっさと身体を乗り換えて新しい生活を送った方が楽だ。
「へへ、思ったより楽しませてもらったよ。」
元々瑞希には能力の実験として乗り移ったのであって、思っていたより気に入りはしたが特別居座りたいと思う程の愛着はない。
「じゃあね先輩、次会う事があったらその時も宜しくね♪」
気力も体力も失い動けなくなった先輩と、この部屋で何が起きたのかについての証拠を放置したまま、男性は以前から見定めていた獲物の元へと向かった。
――
放課後の図書室。
テスト前でもないこの時期に利用する生徒は少なく、カウンターにいる図書委員ですら暇すぎてうたた寝している。
そんな人気の少ない図書室に訪れた瑞希は、いつもこの時間帯に図書館にいる「友人」を探していた。
その人物は瑞希の身体に飽きたら移動しようと考えていた数人のうちの一人だ。
たまたま空き教室が近かった事と、人が少なく本棚で隠れれば人目に付きにくい図書館という環境は乗り換えるのに都合が良い。
何より男性にとって「一番理想的な容姿」であるという、ある意味で最も重要な要素をその友人は持っていた。
「あ~ん~な!ちょっといいかな?」
目的の少女はすぐに見つかった。
この1ヶ月で男性が培ってきた「瑞希のマネ」を駆使して警戒されることなくと少女に近付く。
「瑞希ちゃん?珍しいね、図書室に来るなんて。」
「む、失礼な!アタシだってたまには本を読むんだから。」
瑞希が一年の頃、同じクラスだった友人の「安奈」。
彼女こそ男性が瑞希の記憶を確認した時に知り、「次の身体」として狙っていた少女である。
暫く瑞希のフリをしたまま他愛のない会話を続ける男性。
「ふふ、なんだかこうやって話すのも久しぶりな気がするね。」
「えーそうかな?」
さりげなく壁際に誘導しながら、男性は密かに安奈の身体を品定めした。
やや童顔な柔和な顔立ち、背中まで伸ばしたサラサラの黒髪、雪のように白い肌。
体育系の引き締まった身体の瑞希とはまた違った、グラビアアイドルのような整ったスタイル。
発育の良い肢体に対して顔は幼くも見える可愛らしい童顔、瑞希の身体の中に潜む男性からしたらまさに理想の肉体だ。
「だってクラスが違うし…その、最近なんだか瑞希ちゃん雰囲気が変わったというか…瑞希ちゃん?」
「瑞希」から舐め回すような視線を感じた安奈が、不審げな表情で顔を覗き込んできた。
「へへへ、安奈ちゃんって可愛いよね…」
「え!?あ、ありがと…んぅ!?」
唐突に、安奈を無理やり壁に押さえつけ唇を奪う。
瑞希の予想外な行動に目を見開き驚く安奈の口内へ、躊躇なく舌をねじ込み激しくかき回す。
「ちゅく、んん!くぅ…ちゅぷ…」
「ん、ちゅく…ちゅ…ぷはぁ!」
ある程度味わったところで、銀色の唾液の糸を紡ぎながら唇を引き離す。
時間にしたらたった数秒だが、男性は興奮で、安奈は混乱と嫌悪で長い時間に感じた。
「へへへ、ごちそうさま安奈ちゃん♥」
「あ、貴女本当に瑞希なの?」
涎のついた口元を舌でなめ取りながらうっとりとした…いや、鼻の下を伸ばして下品な表情の瑞希の表情は、安奈の知る友人のモノではない。
安奈本人ですら「どこまで」自覚して言ったのかは分からない、無意識に搾り出した疑問の言葉。
「…そうだよ。アタシは瑞希だよ?」
若干動揺しながらも、男性は彼女の疑問にあやふやに答えながら抱きしめた。
「はぁ~♥安奈ちゃんの身体やわらか~い♥」
「やめてっ!何するの?!」
「柔らかいお尻♥それに、おっぱいも瑞希ちゃんよりおっきい…」
瑞希の細い指を使っていやらしい手つきで安奈の腰やお尻を撫でまわす。
さらに、グイグイと自身の身体を執拗に押し付け素肌の柔らかさや温もりを堪能する男性。
…当然の事ながら、そんなことを続けていれば抵抗される。
「やだっやめて!離して!」
「うおっ…と!」
いくらこの身体が水泳で鍛えていても、相手に全力で抵抗されてしまえば簡単に振りほどかれてしまう。
男性は身体を引き離そうと暴れた安奈に突き飛ばされてしまった。
「いってぇ、調子に乗りすぎた。」
「こっちにこないで!」
こちらの動きを見逃さないように睨み付けてくる安奈。
しかし、怒りや失望、恐怖…ネガティブな感情をぶつけるその表情は、男性にとってはこれから行う自分の行動に対するスパイスのような感覚だ。
「へへへ、続きは自分でやって貰おっかな?」
「あ、ああ!」
なぜかというと、男性の能力は相手と視線を合わせる事で発動するからだ。
男性が能力を使いながら視線を合わせて数秒、早速安奈が短い悲鳴をあげながらビクッと身体を震わせる。
この瞬間、二人の間には意識を流し込む為の「道」が繋がった。
「やぁ…ぁ…はいって…きちゃ…」
金縛りにあったかのように自分の意思で身体を動かせず、逃げるどころか視線を反らすことすらできない。
自分の中に黒く濁った意識が流れ込んで行くのをただ眺めるだけの安奈と、瑞希の肉体から抜け出す奇妙な感覚に心を躍らせる男性。
「へへへ、もう遅いよ安奈ちゃん……じゃあね…」
その言葉を最後に、瑞希の肉体は電源を切った玩具のように力を失い、膝から地面へと崩れ落ちた。
男性の数ヵ月に及ぶ支配から解放されたその肉体は、そのまま鈍い音をたてて床へと倒れこむ。
「いや…いやぁ…!きもちわるい…ぁ…」
…一方で、安奈の方は目の前で起きた事を心配する余裕などなかった。
視界を通して侵入してきた男性が頭の中を這いずり回り意識を犯していく。
「あっ!あぁ!ああぁ……」
既に男性の移動は完了しているので、どれだけ抵抗しようと退ける事は不可能だ。
すぐに安奈の意識は塗りつぶされ…
――
「これだよこれ!このおっぱいが欲しかったんだよ!」
男性に身体を奪われてしまった安奈が胸に両手を埋めながら下品に笑う。
瑞希よりも大きく柔らかい胸、小麦色に焼けていた瑞希と違って透き通るような白く柔らかな肌、水泳をしていた影響で茶髪だった瑞希と違うさらさらしたロングの黒髪…同い年の少女でも胸の重みも身体のバランスもまったく違う。
当たり前でありながら普通なら理解できない感覚に興奮しながら、安奈はひたすら自分の身体を堪能していた。
「へへ…いいねぇ安奈ちゃんの身体♥瑞希ちゃんより使い心地が良さそうだ♥」
うっとりと舌なめずりしながら呟く「男性」。
ここにあるのは乗り換えも無事成功し、以前より理想的な肉体を手に入れた事に喜びを隠せない男性によって歪められた少女の姿だ。
「さて、と…いままでありがとね瑞希ちゃん。」
このままこの場に居たとしても面倒なことになるだけだ。
「安奈の身体になった男性」は躊躇なく瑞希の鞄の中の荷物を漁り「男性の準備していた手提」を取り出した。
中身は大人の玩具や財布の中身、瑞希の水着といった男性の欲望が詰まった物ばかりだ。
「じゃあね。もう会うことは無いかもしれないけど、これからも元気でね~♪」
新しい身体へと完全に興味が移った男性は、瑞希に最後の挨拶を済ませてその場を後にした。
――
「ねえ、あの噂聞いた?」
「三年の先輩が三階の空き教室で襲われたんだって。」
「二組の生徒が記憶喪失で入院したとか。」
「二重人格だったって聞いたよ?」
「私は転校したって聞いたけど…」
他愛のない会話の中に見え隠れする「あの出来事」の噂話。
何処までが本当で何処までが嘘なのか、安奈の中に潜む男性にも分からない。
安奈に乗り換えた事により当事者ではなくなった男性は元の瑞希がどうなったのか、先輩はあの後どうしたのか、詳細を調べる事が出来なくなったからだ。
ただあれ以降、男性は瑞希の姿を見ていない…という事実だけが残った。
「もうアレから一月かぁ…」
安奈の清んだ声で小さく男性。
瑞希の時と同様に安奈の身体と記憶を利用し好き勝手しながら一月たった。
両親は最近様子の違う娘に戸惑ってはいるが中身が違うという考えには至る筈もなく、瑞希の時と同様に反抗期か何かだと思っているようだ。
「へへへ、瑞希ちゃんと違ってそう簡単には手離さないよ?」
この身体を気に入って乗り換えただけあって、安奈に対する男性の執着も瑞希の時以上だ。
安奈が男性から解放された時、彼女の人生はどれだけ歪められているのか、男性自身にもそれは分からない……